【COLUMN】Vol.1|八ヶ岳の西麓「本多園芸」のトマト(第3話)~トマトをどう調理する?~

視界の果てまで広がる原野に、悠然と横たわる八ヶ岳連峰の裾野にある「本多園芸」さんのトマトを視察してきたシェフ達。その土地の空気を感じ、トマトの育つ環境を見てきた彼らはそのトマトをどのようにお料理へと昇華させていくのでしょうか。

今回は其々のシェフが完成させたお料理を紹介していきます。

XEX DAIKANYAMA / Salvatore Cuomo Bros. 坂田シェフの場合

農園に行き本多園芸さんのトマトを口にした時に一番に感じたのはビニールハウスの温度感。この温かい空気感が有るからこそより一層トマトが甘く感じる。そう感じた坂田シェフ。トマトの青くさい風味も印象的だと言う。このままのイメージをお料理で表現したいと思ったそうです。

坂田シェフ

ビニールハウスの中で育ったトマトのこの温度と空気感がお料理で表現できたら。と語る坂田シェフ。

用意したのは本多園芸のトマト、セミドライにしたトマト、トマトから取ったコンソメ、トマトのクーリ(ピュレしてから裏漉しした野菜や果物から作られるどろっとしたソース)、ジェノベーゼソース、バジルとトッピングのリーフ。さてこれでどのようなお料理を作り上げていくのでしょうか。

カプレーゼ

素材そのものの味を食べてほしいと思って用意した材料。フレッシュトマトは勿論、セミドライトマトやコンソメ、クーリも全て本多園芸のトマトから作ったもの。

真っ白なお皿が色鮮やかに盛りつけられていきます。食材そのものの味をお客様に味わってほしいと思い考案したそうです。その内容は至ってシンプルなモノでしたが、そのアプローチにはひとひねり技が効かせてありました。完成が楽しみです。

組み立てていく姿は真剣そのもの。見てきた風景や農園の様子を再現したいと思い考案したお料理。

ビニールハウスの温かい温度の様子やもぎ取って食べたときの青くさいトマトの風味、熟れていないトマトの白さ、高く伸びたトマトの枝のなる様子。全てをこの一枚のお皿で表現したかったと語るシェフの目はキラキラと輝いていました。お皿一杯に一筋のジェノベーゼソースが引かれています。これはそのトマトの枝を表現したそうです。モッツァレラチーズの白色は熟す前の下手の部分の白さをイメージしました。

「八ヶ岳トマトとモッツァレラのカプレーゼ」

お皿、食材が冷えた状態で出てきます。さてさてこれからこのお皿の中でビニールハウスの温度感をどう出すのか。

一番のポイントは「温度」です。実はこのお料理が盛られているお皿と並べられたフレッシュトマトとモッツァレラチーズ。全て冷たく冷やされているのです。そして、このお料理のメインイベント。なんとこの上から温めたトマトのコンソメ(ベジタブルゼラチンを少し入れたもの)を流しかけるのです!すると驚き!食材やお皿の上でコンソメが固まり、まるでビニールハウスのように食材を包みこんで閉じ込めてしまいました。

コンソメを流しかけるとお料理が完成。スープが固まりまるでビニールハウスのようにトマトを包みこんでしまいました。

そう、温かいスープを流しかけることで冷たい食材の周りに温かいスープの幕が出来上がるのです。一気にトマトとモッツァレラチーズが温度を上げて、あのビニールハウスで食べたときの温かいトマトに変化するのです。甘味と旨みが一番感じられる温度まで上がるのです。これはお見事!坂田シェフのまっすぐな印象がすべて表現された一皿に仕上がりました。

このお料理はXEX DAIKANAMA / Salvatore Cuomo Bros.で11月10日(金)より期間限定でご提供いたします。是非ご賞味ください。

◆Restaurant Information
XEX DAIKANYAMA / Salvatore Cuomo Bros.
「八ヶ岳トマトとモッツァレラのカプレーゼ」1,800円(税込)
提供期間:11月10日(金)~12月20日(水)
提供時間:17:30~23:00(LO)
ご予約不要( 限定数あり)
アクセス:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町11-1ラ・フェンテ代官山3F
ご予約・お問い合わせ:03-3476-0065